幻想

約5ヶ月間、つけない日はなかった指輪をしないまま、外に出た。自分の気持ちを書き出そうとしたら、浮かんでくるのは惨めな思いばかり。そんなのも、もっと言うことが出来たらよかったのだろうか。結果がどうなるかには関わらず。でもそんなのは、こんな風になってしまった今だから思えるだけなのかな。
将来に対する不安も、自分の弱さも、当たり前にわかっていたことだった。向こうも感じていることはわかっていた。だから言えないこともたくさんあった。でも、一緒に進めるもんだと、自分なりに頑張って進もう、自分にはない色んな素晴らしいものを持っている彼女に負けないようになろう、彼女の親御さんに、自信を持って会えるような人間になりたい、と思っていた。自分自身のために。ずっと一緒にいるもんだと思っていたから。そんな考え自体が甘かったのかな。結局は、頼りすぎていた、依存していたのだろうか。そんなつもりはなかったのに。
ここで負けてしまうのはしゃくだから、精一杯自分なりに進もう。やろうとしていたことをやろう。それが恩返しなんてものにはならないにせよ。
サマーオブラブは訪れなかった。