月はいつも海を、君が迷うことのないように光を浴びせる

海は月を映し出して、忘れそうになる僕を気付かせる。

例えば、親離れ子離れをいつかはしなければならないように、どんなに近くにいたとしても、いずれはお互いの距離、関係は変わってゆく。もっと近づくこともあるが、まぁ離れてしまうことのほうが多い。でも、だからといって、実家というか、帰ることの出来る場所を捨て去る必要は全くないんじゃないだろうか?
世界が広がってゆく。それだけで満たされることは、たぶん、ない。側にいることだけが全てじゃない。多少距離が開いてしまったとしても、お互いが存在しているということ、それ自体がお互いの支えになるということだって、十分に素晴らしいことなんじゃないだろうか。だし、それは絶対に可能なことだ。常にお互いの一番である必要はない。ナンバーワンにならなくても(以下略)というのは、口に出すのはとんでもなく恥ずかしいが、まぁ真理であることは間違いないだろう。失う前からお互いの大切さをはっきりと認識しているのなら、側にいるのが当たり前だったから、中途半端に距離が開いてしまうことが恐ろしいのだとしても、決してその関係を捨て去ってはいけない。壊れる前に自分達の手で壊す?そんなのは間違ってる。大切なのは距離じゃない。お互いを思い合う、その気持ちそのものなんじゃないか?本当は気付いているくせに。「帰りたくなったらいつでも帰っておいで」。そう言い合って、それぞれの道を進むことだって出来る。
本当に大切なものを失うことの苦しみ、そんなのを味わう回数は少なくていい。