bury me

骨は残るが、肉は腐る。
Gish
サバスが引き合いに出されることが多いけれども、ファンク抜き、だけどグルーヴィーなジミヘンなんじゃないだろうか、このアルバムの特徴は。結局、それはその後のアルバムでは見られない要素になってゆくわけだが。ギターの音がとても細い、ベースが引っ張る曲が多い、リズムが跳ねている…など。名曲ライノセラスなどに、後の音楽性に繋がる部分は多く見られるものの、彼らの中では結構異色なアルバムだと思う。少なくとも、原点回帰とか言われていたラストラルバム(借りパクされてしまったので、もう長い間聴いていないが)とは全く異なるもんだろう。今聴いてみると、けっこう面白いもんだなぁと感じた。ジェーンズ・アディクションの影響はけっこう大きいもんだったということなんだろうか?しかし、ブラックミュージックの影響がほとんどみられないニルヴァーナが、グランジオルタナティブ一番の成功者になったというのはなんとも言えない話だなぁと思う、なんとなく。

SONGS ABOUT JANE
このバンドが好きという人は、どういう部分を気に入っているんだろう?CMで使われていた(聴いたことがある曲がたくさんあって驚いた)ことが物語る、ポップさだろうか?R&Bの影響を受けた、おしゃれな感じだろうか?
いいアルバムだと思うけれど、音が軽すぎる、工夫がなさすぎるというか。ベースにもうちょっとがんばってほしいもんだなぁと思う。まぁ、主張すりゃあいいってもんではないと思うのだが。

先日某バンドのライブ映像を見て感じたのだけど、ただ弾きまくるだけでは、曲としてよいもんにはならないと思う。プライマスのレスや、フリーが素晴らしいのは、押し引きというものをきちんと理解しているからだろう。
本質、背景を理解せずに、スタイルだけを借りて、ポップな形で提示するというのは、結局、変なポップスと変わらない、というか、しっかりした作曲家、アレンジャー、プロデューサーが作っているわけではないのであれば、ポップス以下なのではないか?と思う。ロックバンドの中途半端にポップな曲を聴くぐらいだったら、昔のポップスを聴きたい、俺は。
自分のやろうとしている音楽が、どうやって成り立ったのか、というのはそれなりに理解するべきなんではないだろうか。音楽の持つ重みを理解すべきじゃないだろうか?見た目を真似すること、演奏法を学んで演奏すること、真似していい機材を使って音を出すことでは足りない部分って、死ぬほどあると思う。きちんとした背景が見えてこないのでは、深み、重みが感じられない。
よく思うのだけど、ミクスチャーなどといった、ブラックミュージックに影響を受けた(直接的でも間接的でも)音楽をやっている人々の曲を聴くと、それまではリフで引っ張っていたのに、サビになると、ただのコードストロークに、わかりやすいメロディ(≠いいメロディ、だと思う)がのっかるだけになる、ということが多い気がする。シングル曲だから仕方がないのかもしれないが、もうちょっと面白いことって出来ないもんなんだろうか。日本人のヒップホップのいくつかで見受けられる、サビになったらみんなで手を左右に振って〜みたいなノリもそう。結局はただのダメなポップスじゃないか、と感じる。日本人は歌民族だ、というけれど、独自のものを付け足すというのはいいことかもしれないけれど、やはり、違和感を感じずにはいられない。
まぁなんというか、付加価値というのは、時代とのリンクであったり、精神性であったりという部分に宿るもんなんかなぁと思ったりするのだ。それって結局は、ある種の音楽の聴き方を植えつけられている、ということなのかもしれないが。